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2016年1月25日月曜日

【介護士に財産の100%を相続!?】 介護士と遺言書

 介護をしていると人が亡くなることに関わる機会が多くなります。

 施設の職員だと、ターミナルケアとして看取りに関する関わりしかないかもしれませんが、家族、その他その高齢者と関わる者にとって関係があるのが遺産です。

 これについて先日このような判決が出ました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160124-00000045-san-soci

 記事を読むのが大変な貴方のために簡単に説明します。
 法律の問題文ではないので、細かい部分は省略します!


<登場人物>

● 亡くなった高齢者Aさん
 公正証書遺言により【家政婦に全額相続させる】としていた。

● 家政婦
 昔から仕えており、高齢者Aさんが一人で生活が不自由になってからは介護も行っていた。
 
● 娘2人
 家には寄り付かず、高齢者Aさんの生前からお金の無心だけを毎回何千万円と受けていた。
 高齢者Aさんが亡くなった直後に相続として3000万円+宝石類を持ち去る。



<概要>
 上記状況において、死後に娘達が持ち去った3000万円の返還を求めた訴訟のようです。 

 これに対して娘達
「遺言書は、家政婦がAさんを騙して書かせたものだ!」

「資産家のAさんの資産が少なすぎる!家政婦が着服していたはずだ!」
と主張しました。



 これに対して家政婦側
「遺言書はAさんの意思で作成したものだ。」

「着服なんかするはずがない。」
と主張しました。



<状況>
● 娘達は家に寄り付かず日頃から何千万円とお金だけを貰っていた。

● 最後に無心された際に「もうこれで最後にし、お金を貰わない。」と念書を作成している。

● 周囲の者の供述等から、Aさんは娘達に資産を取られることを恐れており、外出している間に資産を持っていかれることを心配して外出すら出来なくなっていた。

● 日頃から娘たちに何千万単位でのお金の無心を行っていたため、資産が減っていた。

● 家政婦は50年以上献身的に勤めていたため、相続させる情が沸くのは自然。

● Aさん死亡時、家政婦の所持金は5000円だった。



<判決>
 これらのことから
【娘達に対して、持ち去った財産全ての返還を命令】

それにプラスして
【本件の訴訟費用全額の支払い命令】

となりました。



 多くの人はこの記事を見て
「何かスッキリした!」
と言っています。

 しかし、当事者になった場合には
「良かった!」
だけでは済みません。

 そして介護に携わっている以上は貴方にとってこれは
【他人ごとではない】んですよ!?


 色々と複雑なので、一度に全部説明することは出来ないので、今回は遺言書についてだけ少し触れて終わりにしますね。


 遺言書は15歳以上の者であればほぼ誰でも作成できます。

 しかし、法律で決まった通りに作成・保管をしなければ無効となります。

 特別緊急の場合にする特別方式遺言は除きます。


 効力を発揮するための遺言書を作成する方法は3種類です。


<自筆証書遺言>
 遺言者本人が全て自書しなければなりません。

 そして内容も必ず
【全文】
【日付】
【氏名】
【指印・押印】
これらの要素を含んでいなければ無効となります。

 死後の手続きとして、他者からの開封行為などがないか、家庭裁判所での検認が必要です。


<公正証書遺言>
 公証人2名以上が立会の元で作成します。
 条件は細かいので省略しますが、
 遺言者が口頭で内容を示し、公証人が作成します。

 保管方法に第三者が介入できない確実性があるため家庭裁判所の検認不要。


<秘密証書遺言>
 公証人1名+証人2名以上必要。
 遺言書を作成するのは本人です。

 誰にも見せずに遺言書を作成し、封筒等に入れて封印をします。

 そして、その遺言書は本人が作成し、封印までしたことを公証人+証人に確認してもらう方式です。


 その遺言書が本人の意思によって作成された証人がいるので手書きではなく、パソコンによる作成でも可です。

 保管者は私人なので、これも死後は家庭裁判所での検認が必要です。




 これら以外の遺言書の効力は原則的に無効とされます。二重作巡査


 今回の事案はこの中で公正証書遺言です。


 遺言書を正式に残してもトラブルになるんですから、遺言書を残さなかったらどうなるかわからないですね。二重作英雄


 トラブル回避や自分の権利を守るためにも適切な遺言書の知識は持っていても良いのかもしれませんね。鑑識

 ちなみに、このような専門知識を身に付けたいならこちらのテキストの【民法Ⅲ】をどうぞ!
 ついでに専門家の行政書士の資格も取得してしまいましょう!!!


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